森をつなぐ>終了した取り組み

【終了した取り組み】緑のダム体験学校

 緑のダム体験学校はフォレストキッズスクールに引き継がれ、毎回の定例活動に初参加の方へは森林インストラクター資格を持つ本会理事が森の案内をさせていただいております(午前:森の案内、午後:各自希望する活動へ参加します)。
 NPO法人緑のダム北相模では、2003年4月から「緑のダム体験学校」を企画しています。「緑のダム」とは、森林を成長させることによる二酸化炭素固定効果と、既存のコンクリートのダムではない、人の手によって整備される健全な森を維持することにより、その森の浸透能力や保水能力を、既存のダムの機能として見立てているものです。私たちが活動しているフィールドは相模湖畔・嵐山にあります。都心からわずか1時間という好適地にも関わらず、数多くの自然が残されています。「緑のダム体験学校」では、広くその活動を知り体験してもらうことにより、一人一人に森について考え、その価値を知ってもらうために行われています。「緑のダム体験学校」では、様々な講師を迎え、10m以上もあるスギやヒノキの間伐体験をはじめ、多彩なプログラムを提供しています。本企画は、損保ジャパン環境財団環境学生団体E-CO青年隊が支援し、現在に至っています。
 緑のダム体験学校では、定例活動時に行われる初心者向けのガイドだけでなく、地元の小学校などの総合的な学習の時間の現地実習の受け入れ、森林環境に関する出前授業なども行っています。「学年やクラス単位での受け入れ」や「出前授業」などを希望される学校さまは下記、お問い合わせからご連絡ください。各学校に合わせたカリキュラム、活動をご提案します。学校以外の企業さま、公民館活動等個別対応いたします。また緑のダム体験学校長などが出演する「緑のダム」に関するインターネット講座も開講しています。そちらもぜひご覧ください。

【終了した取り組み】甲州古道復活プロジェクト

 甲州古道復活プロジェクトはまとめ冊子「甲州古道ぷろじぇくとまとめ草子」を作成し、プロジェクトを終了しました。同冊子は貴重性が高いということで、国会図書館に蔵書されています。

【終了した取り組み】川崎ネイチャーフェスティバル

 川崎ネイチャーフェスティバルは、年に1回川崎市のJR新鶴見操車場跡地で都市生活者と水源の森をつなぐことを目的としたイベントで、「木をつかうことは、森をまもること」をテーマに緑のダム北相模では2004年から2009年までイベント企画段階から当日に出展しました。
ネイチャーフェスティバルは、年1回川崎市幸区の新鶴見操車場跡地(JR横須賀線「新川崎」駅前)で、都市生活者と水源の森をつなぐことを目的としたイベントです。「木を使うことは森を守ること」をテーマに緑のダム北相模では、イベント企画段階から当日の出展までを、ネイチャーフェスティバル実行委員会に参加し活動しています。
 2004年から2009年までネイチャーフェスティバルをNPO法人幸まちづくり研究会と共催してきました。 川崎市民が毎日飲んでいる「水」の供給源である「桂川(山梨県)・相模川(神奈川県)水系」の水源の森は、荒廃が進み、このままでは私たちの子孫が安心して水を飲めなくなってしまいます。子どもたちの未来のために、水源の森と都市をつなぎ、 適切な時期に伐られた木を使うことで森を活性化させ、水源の森を守ることが必要です。
 ネイチャーフェスティバルは、会場となる新鶴見操車場跡地に防災拠点となる「いのちの森」をつくると共に、都市に暮らす人々に水源の森の現状を伝え、「木を使うことが水源の森を守ること」を広報・啓発する場として開催されました。
 緑のダム北相模からは、恒例の鋸引き体験、バームクーヘンづくりやFSC認証材で制作した積み木の広場など、様々な企画が出展され好評でした。 また、昨年のイベントで募集した間伐材を生かした「森づくり・モノづくり」コンテストの結果発表も行いました。
 2008年度から、NPO法人幸まちづくり研究会が開発中の間伐材試作ポットを使った「どんぐりの苗木づくり」が企画されました。これは農山村と都市がともに協働し、どんぐりの苗木を育てて荒廃した水源の森に植樹することで「いのちの森づくり」 をすすめていく大変好評を得た企画です。当日はNPO法人「森びとプロジェクト委員会」協力のもと、親子100組(約200人)が苗づくりに参加し大盛況でした。
 共催によるイベントも今回で4回目となり、流域行政(神奈川県・山梨県・相模原市・川崎市)やJR貨物(株)等の後援、(株)パイオニア、川上~川下の環境NPO・山側関係者、JR貨物労組等の協賛など、多くの団体からの支援・協力を得て実施しました。
 このネイチャーフェスティバルを通してNPO・行政・企業・労働組合等が連携・協働することで水源の森と都市がつながり、桂川・相模川流域の木材の活用促進を図るとともに、顔の見える流域木材の流通・産直の仕組みを作り、新鶴見操車場跡地での「森の入り口拠点」づくりを具体化させていきます。このイベントには,今年も7000人近い来場者がありました。

【終了した取り組み】グリーンハブシティ構想

 グリーンハブシティ構想は相模川流域をつなぐサプライチェーン構想へと引き継がれて活動を継続しております。サプライチェーン構想につきましては近日公開予定です。
 相模原市は2010年4月に政令指定都市になり、市の面積の58%が森林になったために、新たな森林ビジョンを策定中である。緑のダム北相模では森林資源の視点から、従来から関係方面に相模原市の地理的な絶対的優位性を説いてきた。相模原市は神奈川県の北部に位置し、大消費地域(神奈川県人口900万人、東京都1300万人)と森林資源地域(神奈川県95千ha、山梨県348千ha)に接しており、両地域の中央にある。さらに相模原市を通る甲州街道・中央道は森林地帯の長野県(1,061千ha)にも繋がっている。主要交通路の甲州街道は、江戸時代に徳川幕府が江戸城陥落の時に備えて、江戸から甲府までの退路として確保した重要な街道であり、現在も重要な交通路である。さらに甲州街道に交差する圏央道が開通すれば、その交点に位置する相模原市は関東一円の4,400万人の消費人口と結ばれることになり、重要度がさらに増す。相模原市は、この地理的な優位性を生かし、「内陸ハブシティ」としての発展を目指している。
 緑のダム北相模では、相模原市が森林資源地域にあるとの視点から、相模川流域の相模原市と山梨県を含む地域を「グリーンハブエリア」とすることを提案している。従来の林業は建材を主目的としていたが、現在の森林資源は建材、パルプ、エネルギーなどの総合資源として見直されており、「グリーンハブエリア」構想では、相模原市が総合資源活用の中心地になることを提案している。
 日本では一次産業として衰退している林業だが、ヨーロッパのドイツ、オーストリア、フィンランド、ノールウェーでは、工業と同様に重要産業となっている。また、海外では既に木質ペレットの大規模工場が作られており、エネルギー輸入国の日本もターゲットになっている。日本国内でも既に地方では、発電用に大規模な木質ペレット工場が数か所稼働している。発電用ペレットは、従来林業が生産してきた薪炭やストーブ向けの木質ペレットの需要とはケタ違いの規模であるため、弱体化した日本の林業の現状では供給能力とコストの点で輸入木質ペレットに大きく負けている。しかしフットプリントの観点から、木質バイオマスエネルギーは、エネルギー消費地に隣接する森林資源地域で生産するのが、経済的にも絶対的に有利であり、林業再生の観点からも、グリーンハブエリアにある相模原市での木質ペレット発電の開発が期待される。なお、発電所については、戦後の昭和22年に完成した相模湖発電所は、老朽化し最近はダムの立ち入りが禁止された。将来水力発電所のダムの撤去・リプレースが問題になった時には、木質バイオエネルギー発電所としての再生も考えられる。
 また、木質液体燃料エネルギーによるガソリン・灯油・軽油・重油の石油エネルギー代替が可能になると莫大な需要がある。日本国内でも既に多数の実証プラントが稼働しているが、工業化のための最大のネックは、現在の林業がその原料木材の必要量を供給する能力がないことである。グリーンハブエリアの中心にある相模原市は、森林資源地域にある立地条件の優位性を生かして、発展する可能性がある。しかしながら、日本が臨海工業地帯の発展に伴い行った海岸線をコンクリート岸壁にして、海浜と海を破壊した同様の愚を里山で繰り返してはならない。ある日突然里山が消え、大工場が建ち、トラックが走り回る開発でなく、森林資源活用で森林を再生し、経済と環境のバランスのとれた循環型の林業の復活が望まれる。
 秩序ある森林開発のためには、FSC認証などの認証取得が不可欠であり、既にいくつもの団体、企業がそのような動きをしている。緑のダム北相模もFSC認証を取得しており(2005年10月より2015年10月まで)、今年5年目の認証更新を迎える。
 緑のダム北相模の理念「森林破壊という負の遺産を子孫に残してはならない」を実行するために、環境と経済を両立させた林業復活への取り組みは、今後の50年100年後を見据えながら、緑のダム北相模の活動の重要なテーマである。
積算資料2010年5月号より転載